今日はとても晴れていたので、部室の窓からみんなで外を眺めながらの部活動でした。
窓の外には色とりどりの花や青々とした草木が生えていて、それらは暖かい日差しをふんわり跳ね返し優しい光で部室をあたたかく包みました。
「はぁ、今日の窓はとてもきれい」
思わず部員のひとりがつぶやきました。
「そうだね、今日は良いお天気だからいつもより窓がきれいに見えるね」
すばらしい窓に、部員全員の心は安らぎました。
しばらく窓を眺めていると、不思議な感覚が広がっていきました。
どこからが窓の内側でどこまでが窓の外側なのか分からなくなってきたのです。
内側と外側が窓で区切られているにもかかわらず、なぜだかすべてがひとつのような……
そんなぼんやりとした感覚がして、自然と心が満たされていきました。
するとひとりが言いました。
「私は窓だ」
もうひとりも続けて言いました。
「そうだ、窓なんだ」
内側と外側の境でありながら、自らが内側と外側になっていました。
リコーダー部全員、窓になっていたのです。
これが空即是色の境地なのかもしれない。
部員はそう思いました。
おしまい
0コメント